治験、新薬、疾患
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キムリア ―保険適用の承認について―

 難治性白血病(B細胞性リンパ芽球性白血病)の子ども〜25歳、抗がん剤での治療の効果が無かったリンパ腫(びまん性大細胞が多B細胞リンパ腫)の患者さんに施される治療・キムリアについて保険適用が承認されました。つばさはこの保険適用を歓迎し、必要として待っている患者さんに一日も早く使われますよう、祈っております。

 キムリアは高額な値段のために、国民皆保険制度に影響が大きいのでは?ないかという意見や不安もあるようです。

 でも同じように骨髄移植も日本で数多く行われるようになった1980年代、ドナーの検査費用と骨髄採取、患者さんの寛解導入の治療、前処置、無菌室代(個室費用とは別)など複雑に費用が重なって合計すると数千万円といわれ、多くは治験医療として行われていました。それでも骨髄移植は、それまで不治の病といわれていた白血病を、たとえ一部の人であれ根治に導くことができたのです。そこに1991年、日本骨髄バンク(当初は骨髄移植推進財団)が稼働し、身内からの移植件数も増えて、医療としての経験が積まれ、治療成績も向上してきました。同時に治療の段階のそれぞれが保険適用されて、高額療養費の範囲で移植が受けられるようになりました。そして移植医療そのものも、末梢血幹細胞移植、さい帯血移植、ハプロ移植と増え、発展しています。

 一方、薬による治療も徐々に成績を上げ、血液がんがいつの間にか「治癒に導ける」疾患になりつつあります。血液がん(リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)のそれぞれの疾患もまた、持っているがん遺伝子の種類で細分化されますが、その遺伝子の異常に対して効果的な薬や治療法が、1つ、また1つと開発されてきました。新しい薬や治療法は、次々に、治そうとする医療と治りたい患者が待つ臨床現場へと届けられてきたのです。

 また私たちは、全ての新規がん治療薬は当初はある一つの疾患のために開発、承認されますが、その多くが次に開発された別の薬と組み合わされて別の疾患に適用される、という朗報をたくさん聞いてきました。つまり私たちは、たとえ対象が少数であっても命を救う治療法や薬が1つ手に入れば、それはまた次に別の疾患を対象とした開発につながることを経験してきたのです。

 命を救うための1つの開発は、治療法、副作用、費用などなども含めて試され使いこなされて、次代の医療のインフラとなります。キムリアもきっと次代への架け橋になると期待して、歓迎いたします。

※詳細な解説が掲載された朝日新聞の記事を紹介します。
→拡大表示 朝日新聞(2019年5月16日) PDFpdf

[2019/06/05]
くすぶり型多発性骨髄腫を対象とする抗体薬の治験」の案内サイトを以下にご案内します。
※本治験は終了しました。[2019/05/15]
https://oncolo.jp/ct/ad/ad0055
[2019/01/18]
ダラツムマブの、未治療を含む「多発性骨髄腫」の効能・効果の適応追加申請が行われ、プレスリリースで公表されました。
[2018/12/17]
再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬が開発されました
アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社とアステラス製薬株式会社は、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬としてビーリンサイトの製造販売承認を取得しました。PMDAウエブサイトで添付文書が公開されましたのでご紹介します。
https://www.astellas.com/jp/system/files/news/2018-09/180925_1_Jp_3_0.pdf PDFファイル

また、日経新聞のウェブ版にも掲載されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP491253_V20C18A9000000/

再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬が発売となりました。[2018/11/28 追記]

●プレスリリースはこちら
https://www.aabp.co.jp/jp/press-room/news/?newsid=428A26B8EEDA491C828A218AFF9993EF

●メディア掲載
・アステラス製薬など、B細胞性急性リンパ性白血病の治療薬「ビーリンサイト 点滴静注用35μg」を発売
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP496656_X21C18A1000000/ (日本経済新聞)

・再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬 「ビーリンサイト® 点滴静注用35μg 」発売
https://oncolo.jp/news/20181127kn (がんと・ひとを・つなぐオンコロ)
[2018/09/25]
ヤンセンファーマ社より、白血病、リンパ腫、骨髄腫などの疾患啓発の冊子が発行されました
リンパ腫、白血病、骨髄腫などの血液がん患者さんの支援と疾患認知向上に向けたヤンセンファーマ(株)のレポートが公開されました。
https://www.janssen.com/japan/sites/www_janssen_com_japan/files/mbcv_report.pdf PDFファイル

現在、冊子も準備中です。印刷が完了して発行されましたら、またお知らせします。
[2018/09/19]