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2020年5月30日(土)つばさフォーラム Web配信版
『血液疾患 〜基本理解と診断からの過ごし方〜』

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◆ 質問とご回答 ◆

配信中にたくさん質問が寄せられました。30数件ありましたが、感想や謝意などで専門医のアドバイスを求めておられる様子がない等を省きまして、先生方にご回答をお願いしました。6月10日現在お送りいただいているお返事から掲載します。尚、新型コロナウイルス感染症への(患者としての)対応につきましては、配信中に田中先生よりアドバイスをいただいてますので、参考になさってください。

質問1. 女性 年齢不詳 慢性リンパ性白血病 2015年発症

17p欠失で、2016年よりイムブルビカを服薬しておりましたが、2年半後となった昨年6月に扁桃に腫れがみられて、BR療法を3クール行いました。しかし白血球が上がらなくなり、3クールであとは経過観察しております。

それがここ1〜2か月のあいだに首のリンパ腺に小さな腫れがあり、まだ小さいもののCLLの再燃と思われるようです。主治医の先生は、次はベネトクラクスで治療、とのことです。私自身は元気で検査結果もリンパ球増加も見られていません。

どのようなタイミングで治療開始となるのでしょうか。それが最後の治療となりますか?移植の話もでましたが、私はリウマチがありますので、移植は選ばないと自分で決めております。

◆ ご回答: 萩原將太郎先生(東京女子医科大学病院血液内科)

A. BR療法後の再治療のタイミングですが、

1.発熱、倦怠感、盗汗、体重減少などのCLL関連症状の出現
2.肝腎機能の異常出現
3.季肋下6pを超える脾腫の増大、10p以上のリンパ節腫大
4.Hb11未満の貧血の進行、血小板10万未満の減少、好中球1000未満

などが治療再開を検討する指標です。しかし、貧血や血小板減少などがあっても長期間安定している場合などでは、そのまま経過観察することもあります。あくまで総合的な判断になります。

B. 次に、ベネトクラクス以外の治療についてですが、

1.アレムツズマブ±リツキシマブ
2.オファツムマブ
3.高用量メチルプレドニゾロン+リツキシマブ

などが17p欠失CLL再発の場合に推奨されています。

質問2. 男性 年齢不明 移植後のGVHDとプレドニン

私は現在プレドニン2錠を服薬中です。よく、「免疫抑制剤服薬中では」などと、一括りに制限されることが多いのですが、例えばプレドニンが1錠減っても抗ウイルス薬、抗真菌剤、PPIは飲み続けないといけないのでしょうか。

◆ ご回答:田中淳司先生(東京女子医科大学病院血液内科)

GVHDの状況とウイルス、真菌感染の既往の状態にもよるとは思いますが、プレドニン1錠(おそらく5mg)であっても原則として抗ウイルス薬、抗真菌剤を服用したほうが安全ではないかと思います。副作用や投与期間によっては減量やPPIの中止も可能かもしれませんので主治医の先生とよく相談されるのがいいと思います。

質問3. 男性 年齢不明

私は、健康状態は普通と感じており、基礎疾患は特にありません。このような高齢者においてさい帯血移植は何歳くらいまで可能でしょうか。

◆ ご回答:田中淳司先生(東京女子医科大学病院血液内科)

現在は骨髄非破壊的前処置が導入されていますので、厳密な臍帯血移植の年齢制限はありません。全身状態や合併疾患の有無などによって各施設の主治医の先生が判断しているのが現状と思います。それでも同種造血細胞移植はGVHDなどの生命に関わる合併症も発症しうるので、その適応については主治医の先生と移植の利点と欠点についてよく相談されるのがよろしいかと思います。

我々の施設では原則として70歳未満を移植適応と考えていますが、施設によっては70歳以上でも移植を行うところもあると思います。

[2020/06/10]

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